平成27年4月1日から「人文知識・国際業務」と一本化され、
「技術・人文知識・国際業務」という在留資格に変更されています。
「技術」の在留資格は、
工学その他の自然科学分野の専門技術者を受け入れるために
設けられたものです。
技術ビザの在留資格該当性については、次のように規定されています。
「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野
に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動」
具体的な業種としては、
システムエンジニア、プログラマー、設計・開発技術者などが該当します。
さて、技術ビザ申請を取得するためには、さらに、
次の「上陸許可基準」が定められています。
申請人が次のいずれにも該当していること。 1.従事しようとする業務について、これに必要な技術若しくは知識に係る科目 を専攻して大学を卒業し若しくはこれと同等以上の教育を受け又は10年以 上の実務経験により、当該技術若しくは知識を習得していること。 2.ただし、申請人が情報処理に関する技術又は知識を要する業務に従事しよう とする場合で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に 合格し又は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格(平成1 3年12月28日法務省告示579号参照)を有しているときは、上記1に該当し ていることを要しません。 3.日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けていること。 |
「技術」の在留資格を取得するためのポイントは、
次のとおりとなります。
①行おうとする活動が当該在留資格に該当するのかどうか
②日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬があるか
③申請人が学歴要件又は実務要件を満たしているのかどうか
④採用する企業側の事業の適正性、継続性、安定性はあるか
コンテンツ
行おうとする活動が当該在留資格に該当するのかどうか
「在留資格該当性」にある、「理学、工学その他の自然科学の分野」とは、いわゆる理科系の分野であり、具体的には、
数理科学、物理科学、化学、生物科学、人類学、地質科学、地理学、地球物理学、科学教育、統計学、情報学、核科学、基礎工学、応用物理学、機械工学、電気工学、電子工学、情報工学、土木工学、建築学、金属工学、応用化学、資源開発工学、造船学、計測・制御工学、化学工学、航空宇宙工学、原子力工学、経営工学、農学、農芸化学、林学、水産学、農業経済学、農業工学、畜産学、獣医学、蚕糸学、家政学、地域農学、農業総合科学、生理科学、病理科学、内科系科学、社会医学、歯科学、薬科学
等の分野となります。
しかし、これらは審査要領において例示的に列挙されているだけですので、
こちらに記載されていない分野であっても、
「理学、工学その他の自然科学の分野」に該当すると主張することはできます。
ただし、この場合、
採用理由書等でこの点を十分に説明する必要があります。
また、「自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務」とは、
学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務であることを示すものであり、
上記の自然科学の分野のいずれかに属する技術又は知識
がなければできない業務であることをいいます。
例えば、機械の製作で、
機械を設計しあるいはその組立てを指揮する活動は、
機械工学等の専門技術・知識を要する業務に従事する活動として
「技術」の在留資格該当性があるといえます。
しかし、単に機械の組立て作業に従事する活動は、
「技術」の在留資格該当性があるとはいえません。
日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬があるか
外国人労働者だからといって、安い賃金で働かせるわけにはいきません。日本人の方を雇い入れる場合と同等以上の報酬額が必要とされます。
ここでいう「報酬」とは、原則として基本給と賞与額をいい、
通勤手当、扶養手当、住宅手当、渡航費用等の実費弁償の性格を有するものは
含まれませんのでご注意ください。
「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬」か否かについては、
基本的には、申請人が就労する日本の企業において同じ業務に従事する日本人と
同等額以上の報酬を受けているかどうかで判断されます。
実際には、個々の企業の賃金体系を基礎に、
同種の企業の賃金を参考にして判断されます。
つまり、就労する企業において同等額の報酬であっても、
同業種の企業の賃金より明らかに低い報酬である場合には、
この条件に適合しないとみなされる可能性が高くなります。
具体的に金額をいくらにすべきとの基準はありませんが、
少なくとも18~20万円以上の賃金を支払う必要があります。
また、在留資格認定証明書交付申請の際に提出した雇用契約書の報酬額より
実際には低い報酬額しか支払っていないケースもあります。
この場合、次回の更新申請は不許可になる可能性があります。
採用する企業の事業の適正性、継続性や安定性があるか
公の機関以外の機関との契約に基づいて業務に従事する場合には、当該機関の事業が適正に行われるものであり、かつ、
安定性及び継続性の認められるものでなければなりません。
○適正性
適正性の観点からは、
当該機関が必要とされる許認可を取得していることや
違法行為・不正行為を行っていないことが必要です。
仮に、過去に不正行為のために行政指導等を受けたことがある場合には、
再発防止策を講じ、二度と同じことは起こさない体制になっていること等を
立証する必要があります。
○安定性及び継続性
安定性及び継続性の観点からは、招聘機関の売上・利益の多寡、
組織形態(法人か個人か等)、組織規模(従業員数)、
設立年度(古くから営業しているのか)などが重要となります。
新しく事業を始める場合には、
事業計画書において、具体的な根拠を示した
売上や利益計画を提示する必要があります。